公的医療保険制度について

病気やケガをした時に基本となるのが日本の社会保険制度である「公的医療保険制度」です。公的医療保険制度がある事で大きな保証を受ける事ができるようになっています。生命保険会社が販売している民間の医療保険等もありますが、まずはこの公的医療保険制度が基本となってきます。

公的医療制度は自分で申請をしないと受ける事ができないものもありますので注意するようにしてください。以下ではどのような公的医療保険制度があるのか解説していきたいと思いますので、まずはどのような公的医療保険制度があるのかを把握するようにしましょう。

今後病気やケガをした時に必ず役に立つ知識になりますので知っておくだけでも良いのではないでしょうか。

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3種類の健康保険

日本は国民皆保険制度により公的医療保険に加入する事ができます。これによって病気やケガをした時には大きな保証を受ける事ができるのです。ただし、健康保険には大きく分けて3種類の健康保険があり、加入している保険によって受けられる保証内容が変わってきますので、まずは健康保険の種類を理解するようにしましょう。

自営業の人は国民健康保険

国民健康保険は、各市区町村が運営している健康保険で、加入や脱退等の手続きは現住所の登録がある市区町村役場で行っております。国民健康保険は各市区町村ごとに運営しているので、保険料の計算方法や支給金額、条件等が住んでいる地域によって異なります。国民健康保険は主に自営業の方が加入する保険で、傷病手当金がありません。

中小企業の会社員の人は全国健康保険協会(協会けんぽ)

全国健康保険協会(協会けんぽ)は各地域毎に支部があり、主に中小企業の社員の人が加入する健康保険になります。協会けんぽは非公務員型の法人として設立された保険者で、職員は公務員ではなく民間職員です。

大企業の人は各種健康保険組合

従業員が数千人を超えるような会社は自社で健康保険組合を所有し、大きな保証を受けられる健康保険に加入します。高額療養費制度の上限が低い場合や、入院した際に給付金が受けられます。大手企業にお勤めの方は大きな保証を受ける事ができる可能性が非常に高いので、会社に確認しておくと良いでしょう。

以上のように健康保険と一口に言っても3種類もの健康保険があります。自分がどの健康保険に加入しているのかをしっかり把握しておきましょう。組合の名前が自分が勤めている会社名になっている場合は、自社の組合保険の可能性が高いので、大きな保証を受ける事ができるでしょう。

高額療養費制度で治療費の払い戻しが受けられる

公的医療保険の場合は病院の窓口で「70歳未満の現役世帯」の方は、3割負担の医療費となります。しかし、医療費が高額になってくると負担が大きくなってしまう事もありますので、1ヶ月の自己負担の上限が定められているのです。この上限である一定額を超えた部分の払い戻しを受ける事ができる制度の事を「高額療養費制度」と言います。

平成27年1月診療分からの自己負担限度額

70歳未満の方の区分

所得区分 自己負担限度額
(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
(標準報酬月額53万円~79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
(標準報酬月額28万円~50万円の方)
(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
57,600円
(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円

70歳以上75歳未満の方

被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来
(個人ごと)
外来・入院
(世帯)
①現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
②一般所得者
(①および③以外の方)
12,000円 44,400円
③低所得者 Ⅱ(※1) 8,000円 24,600円
Ⅰ(※2) 15,000円

※1 被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
※2 被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。

現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者となります。

事前申請をしておけば窓口で精算可能

高額医療費限度額適用認定証の申請をあらかじめしておき、交付される高額医療費限度額適用認定証を医療機関の窓口で掲示するだけで、後程還付されるであろう高額医療費を見越した自己負担限度額のみの支払いで済むようになります。

70歳以上の低所得者ではない人は高額医療費限度額適用認定証の交付は不要で、通常の診療と同様に70~74歳の人は高齢受給者証、75歳以上の人は後期高齢者医療保険者証を窓口で掲示すれば自己負担額のみの支払いで済みます。

家族で合算する

高額療養費制度は家族で合算する事ができます。例えば、1世帯で複数の人が同月に病気やケガで医療機関で治療を受けた場合の自己負担額は、家族全員分を合算する事が可能なのです。その合算した金額が自己負担限度額を超える場合は、その超えた額が払い戻されるのです。

その他にも、一人が複数の医療機関を受診したり、1つの医療機関で外来と入院の両方を利用した場合でも合算する事が可能となります。

合算対象の条件

70歳未満の場合は受信者別に以下の基準によってそれぞれ算出された1ヶ月間の自己負担額が「21,000円以上」のものを合算する事が可能となります。
【自己負担額の基準】

  1. 医療機関毎の計算になります。同じ医療機関である場合でも、「入院・外来」に別けて計算します。
  2. 処方せんにより調剤薬局で調剤を受けた場合は、薬局で支払った自己負担額を処方せんを交付した医療機関に含めて計算します。

子供の場合は医療費助成制度がある

医療費助成とは子供の場合に限り一定年齢まで医療費を補助してくれる制度で、各市区町村によって対象となる年齢や助成の内容、助成の仕方等が異なります。

全国主要都市の子ども医療費助成制度一覧

自治体 対象年齢 所得制限 自己負担
札幌市 中学校卒業まで あり あり
仙台市 中学校卒業まで
(通院は小3まで)
あり あり
さいたま市 中学校卒業まで なし なし
千葉市 中学校卒業まで
(通院は小3まで)
なし あり
東京都23区 中学校卒業まで
(千代田区は高卒まで)
なし なし
川崎市 中学校卒業まで
(通院は小1まで)
あり なし
横浜市 中学校卒業まで
(通院は小1まで)
あり なし
相模原市 中学校卒業まで
(通院は小3まで)
なし あり
新潟市 中学校卒業まで
(通院は小3まで)
※子供が3人以上いる世帯は高卒まで
なし あり
静岡市 中学校卒業まで なし あり
浜松市 中学校卒業まで なし あり
名古屋市 中学校卒業まで なし なし
京都市 小6まで なし あり
大阪市 中学校卒業まで あり あり
堺市 中学校卒業まで なし あり
神戸市 中学校卒業まで あり あり
岡山市 中学校卒業まで なし なし
広島市 中学校卒業まで あり あり
北九州市 中学校卒業まで あり あり
福岡市 小6まで なし なし
熊本市 小3まで なし あり
以上が各市区町村が行っている「医療費助成制度」の内容になります。自己負担に関しましては通院はありでも入院はなしと言う場合もありますので、詳細内容に関しましてはお住まいの地域の各自治体に確認するようにしてください。

出産時の一時金と手当金

通常分娩の場合は「妊娠・出産」ともに健康保険が使えないので全額自己負担になります。しかし、まとまった支出の経済的負担の軽減を図る為に出産一時金が支給されるようになっているのです。

出産一時金とは

出産一時金とは、出産をすると健康保険から支給される一時金の事です。支給額は1児につき「産科医療補償制度加入分娩機関で出産した場合は42万円(死産を含んで在胎週数22週以降の場合に限る)」で、それ以外の場合は39万円の支給となります。

また、健康保険組合のある会社にお勤めの場合は、組合保険独自の付加金がプラスされる事もあります。

出産手当金とは

出産手当金とは出産の為に会社を休んだ時に、事業主から報酬を受ける事ができない場合に支給されるものです。支給額は「月額日給の2/3相当額」で、支給期間は「出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)」と「出産日以後56日」になります。

ちなみにですが、会社から報酬が出ている場合でも、報酬額が出産手当金の2/3未満の場合はその差額が支給される事になっております。

入院で仕事ができない場合の傷病手当金

万が一病気やケガで入院した場合は、仕事ができなくなってしまうので収入が減ってしまいます。そのような場合でも公的医療保険制度の中に「傷病手当金」があります。業務以外の病気やケガが原因で働けないと言う場合は給料が下がってしまったり、支払われなくなる事もあります。その間の生活を保障してくれる「所得補償・休業補償」の制度になります。

連続で3日間休んだ場合で4日目から傷病手当が支払われます。期間は1年6ヶ月間で、標準報酬月額の2/3の額が支給されます。

介護サービス

2000年4月から各市区町村が公的介護保険を開始しました。その後2006年には介護予防サービス等が追加されました。要介護状態になった場合は、このような公的介護保険から給付を受ける事が可能となります。しかし、介護保険は誰でも受けれると言うものではなくて、年齢制限等の条件があります。

介護保険料は40歳から

公的介護保険は40歳以上の人全員が加入して介護保険料を納めています。そして、将来介護が必要になった時に所定の介護サービスが受ける事ができる保険になっています。保険料は各市区町村によって異なりますので詳しくは現在お住まいの地域の市区町村役場で確認するようにしましょう。

40~64歳までは制限がある

年齢が40~64歳までの人の場合は「第2被保険者」となり介護の原因に制限があります。65歳以上の場合は「第1被保険者」となり介護の原因を問わず保証を受ける事が可能となっております。第2被保険者の場合は老化に起因する特定の病気である16疾患によって要介護状態になった場合に限り介護サービスを受ける事が可能となります。

保証を受ける事ができる16種類の疾患

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗しょう症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

上記の16種類の疾患によって要介護状態に在る場合は介護サービスを受ける事が可能となります。

要介護認定は7段階ある

介護サービスを受けるには要介護認定を受けなければなりません。要介護認定は「要支援1~2」と「要介護1~5」の7段階に分けられています。それから、公的介護保険の給付に関しましては、要介護認定を受けた利用者の方が1割の利用料を支払う事で「現物給付」による介護サービスを受ける事ができます。

要介護度別の身体状態のめやす

要支援1 要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態
食事や排泄などはほとんどひとりでできるが、立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある。入浴や掃除など、日常生活の一部に見守りや手助けが必要な場合がある。
要支援2 生活の一部について部分的に介護を必要とする状態
食事や排泄はほとんどひとりでできるが、ときどき介助が必要な場合がある。立ち上がりや歩行などに不安定さが見られることが多い。問題行動や理解の低下が見られることがある。この状態に該当する人のうち、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や、改善が見込まれる人については要支援2と認定される。
要介護1
要介護2 軽度の介護を必要とする状態

食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。衣服の着脱はなんとかができる。物忘れや直前の行動の理解の一部に低下がみられることがある。

要介護3 中等度の介護を必要とする状態
食事や排泄に一部介助が必要。立ち上がりや片足での立位保持などがひとりでできない。入浴や衣服の着脱などに全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある。
要介護4 重度の介護を必要とする状態
食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要。立ち上がりや両足での立位保持がひとりではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護5 最重度の介護を必要とする状態
食事や排泄がひとりでできないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。意思の伝達がほとんどできない場合が多い。

生命保険文化センターより

以上のように日本は社会保障制度がとても充実していて大きな保証を受ける事ができます。ただし上記のような制度がある事を知らないと、保証を受ける事すらできない可能性がありますので注意が必要です。また、自分から申請しないと保証を受ける事ができない制度もありますので注意するようにしましょう。

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