個人年金保険の生命保険料控除に関する4つのポイント

近年は公的年金への不安がニュース等のメディアで報じられているので不安に感じている方も少なくはないのではないでしょうか?老後の生活資金は公的年金に頼るよりも、自分で貯蓄しておいた方がより安心する事ができるのではないでしょうか。

そんな老後の生活資金を貯蓄する方法はいろいろとありますが、最も安定して積立てをする事ができるのが「個人年金保険」なのです。個人年金保険は、老後の生活資金を貯蓄するのに有効的な保険商品で、生命保険料控除の対象となっているので所得税や住民税の軽減を目的として加入している方も少なくはないのです。

会社員の場合は年末調整で還付を受ける事ができますし、自営業の場合は確定申告する事でそれぞれの税金が軽減されます。これから個人年金保険に加入して老後の為の生活資金を貯蓄していこうと言う方は、どれぐらい控除を受ける事ができるのかもしっかり把握しておいた方が良いでしょう。

今回は個人年金保険の生命保険料控除に関する内容を解説していきますので是非参考にしてみてください。

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個人年金保険の生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、払い込んだ保険料に対して一定の金額がその年の所得から差し引かれ所得税や住民税が軽減される制度の事です。生命保険料控除の対象となるのは以下の3種類になります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除(税制適格特約付加)

生命保険料控除は上記の3種類が対象で、給与等の所得に一定の税率をかけて所得税の金額が決まるので、所得控除により課税所得が下がり所得税と住民税が軽減されます。(※平成24年1月1日以降は新制度となっていますのでご注意ください。)以下では、個人年金保険料控除に関する4つのポイントを解説していきたいと思います。

①すべての個人年金保険が所得控除の対象ではない

個人年金保険に加入した場合でも、生命保険料控除の対象にならない場合があります。個人年金保険料控除を受ける為には、以下で紹介する5つの条件を満たしている事が必須となります。

  1. 個人年金保険料税制適格特約付き
  2. 年金受取人が契約者または配偶者のどちらか
  3. 年金受取人は被保険者と同一人
  4. 保険料払い込み期間が10年以上
  5. 年金受取り開始が60歳以降で年金受取り期間が10年以上

以上の条件を満たした場合のみ個人年金保険料控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。

②新規で個人年金保険に加入した場合どれぐらいの税金が還付されるのか

新規で個人年金保険に加入した場合はどれぐらいの税金が還付されるのか気になりますよね。以下では、ある会社員の一例を挙げてどれぐらいの税金が還付されるのかを実際に計算してみたいと思いますので、参考にしてみてください。

【例】

被保険者 男性(35歳)
職業:年収 会社員:600万円
配偶者:子供 あり:6歳
個人年金保険料 月々10,000円
年金額 340,000円
保険料払い込み期間 60歳まで(60歳から10年確定年金)

上記の契約内容を例に、どれぐらいの控除を受ける事ができるのか見ていきましょう。

新制度の生命保険料控除額

以下は平成24年1月1日以降に契約した場合の生命保険料控除額の計算表になります。

  所得税 住民税
区分 年間払込み保険料額 控除される額 年間払込み保険料額 控除される額
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料控除(税制適格特約付加) 20,000円以下 払込み保険料金額 12,000円以下 払込み保険料金額
20,000円超え40,000円以下 (払込み保険料×1/2+10,000円) 12,000円超え32,000円以下 (払込み保険料×1/2+6,000円)
40,000円超え80,000円以下 (払込み保険料×1/4+20,000円) 32,000円超え56,000円以下 (払込み保険料×1/4+14,000円)
80,000円超え 一律40,000円 56,000円超え 一律28,000円

生命保険文化センター(税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」)

上記の表を基に計算しますと、年間払い込み保険料が12万円になりますので上限の「所得税40,000円」「住民税28,000円」の控除対象となります。それでは、実際に所得税の計算をしていきましょう。計算する時は以下の給与所得控除計算表を用います。
【給与所得控除の計算表 平成28年分】

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)

国税庁 No.1410給与所得控除(平成28年分)

【給与所得控除額の計算】
給与所得600万円×20%+54万円=174万円

【所得税の計算】
給与所得600万円-給与所得控除額174万円=426万円

上記の計算で算出された「426万円」が課税所得となるのですが、ここからさらに控除できるものを引いていきます。

426万円-38万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)-38万円(扶養控除)-70万円(社会保険料控除)-4万円(個人年金保険料控除)=238万円(課税所得)

課税所得238万円を所得税計算表に当てはめていきます。

【所得税の速算表】

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4.000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

国税庁 No.2260所得税の税率

上記の計算表に照らし合わせると、課税所得が238万円の場合は税率が10%になり控除額が97,500円になりますので、所得税は140,500円と言う事になります。

課税所得2,380,000円×10%-97,500円=140,500円(個人年金保険料控除がある場合)

課税所得2,420,000円×10%-97,500円=144,500円(個人年金保険料控除がない場合)

差額4,000円

つまり、個人年金保険料控除で軽減される税金は「所得税4,000円」「住民税2,800円(平成19年6月以降の住民税は一律10%)」の合計額である6,800円と言う事になります。個人年金保険に加入した場合は、年間6,800円の還付を受ける事ができると言う事になります。

【新旧制度での生命保険料控除の限度額】

  控除の種類 保険料控除の限度額
新制度 【3種類】

  • 一般生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料
3種類受けた場合 2種類受けた場合 1種類受けた場合
所得税120,000円
住民税70,000円
所得税80,000円
住民税56,000円
所得税40,000円
住民税28,000円
旧制度 【2種類】

  • 一般生命保険料
  • 個人年金保険料
2種類受けた場合 1種類受けた場合
所得税100,000円
住民税70,000円
所得税50,000円
住民税35,000円

生命保険文化センター(税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」)

生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」すべてを合計した控除額の上限が「所得税12万円」「住民税7万円」になりますので、現在契約している生命保険料等で既に上限に達している場合は個人年金保険に新規加入しても控除を受ける事はできませんのでご注意ください。

平成23年12月31日までの契約の場合は旧制度の対象

上記では平成24年1月1日以降に加入する事を例に挙げましたが、平成23年12月31日までに加入した場合の個人年金保険料控除に関しましては、以下の旧制度が対象となります。

【旧制度の生命保険料控除額】
以下は平成23年12月31日以前に契約した場合の生命保険料控除額の計算表になります。

  所得税 住民税
区分 年間払込み保険料額 控除される額 年間払込み保険料額 控除される額
一般生命保険料・個人年金保険料控除(税制適格特約付加) 25,000円以下 払込み保険料金額 15,000円以下 払込み保険料金額
25,000円超え50,000円以下 (払込み保険料×1/2+12,500円) 15,000円超え40,000円以下 (払込み保険料×1/2+7,500円)
50,000円超え100,000円以下 (払込み保険料×1/4+25,000円) 40,000円超え70,000円以下 (払込み保険料×1/4+17,500円)
100,000円超え 一律50,000円 70,000円超え 一律35,000円

生命保険文化センター(税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」)

上記の例の如く所得税の成立が10%として考えますと、旧制度の場合は「所得税5,000円」「住民税3,500円」を合わせた「8,500円」の還付を受ける事ができます。

③夫の所得から妻の契約分の個人年金保険も所得控除できる場合がある

生命保険料控除はあくまでも保険料の支払いをした人の所得から控除されますので、「契約者が妻でも」夫の所得から控除する事は可能なのです。ただし、保険金や年金の受取人が保険料を支払っている本人(夫)か妻、または親族となっている事が条件となります。

それから、先ほども言いましたが生命保険料には上限がありますので、夫の契約分だけで上限に達している場合は、妻の分の控除証明書を提出してもそれ以上に控除される事はありませんのでご注意ください。

④個人年金保険料控除の申告方法について

個人年金保険料控除は申告をしなければ受ける事ができません。毎年保険会社の方から「10~11月頃に生命保険料控除証明書」が郵送(はがき)で送られてきます。この生命保険料控除証明書を勤めている会社や税務署に申告すると、生命保険料控除を受ける事ができるのです。

この申告法は「会社員」と「自営業」とでは方法が異なりますので、以下で詳しく解説していきたいと思います。

会社員の場合は年末調整

勤務先で受け取る事ができる「給与所得者の保険料控除等申告書」を提出する際に、保険会社から郵送で送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して勤務先に提出すれば「年末調整」で控除を受ける事ができます。つまり、会社員の場合は確定申告をする必要はないと言う事です。

年末調整について
公務員や会社員の給与所得者の場合は、毎月源泉徴収によって自動的に給与から天引きされている所得税等がありますが、その合計額と本来納めなければならない税額が相違する事があります。その時に本来支払うべきである金額に調整して余ったお金を返金して貰うのが年末調整なのです。毎月の天引きに関しては、生命保険料控除は一切考慮されていないので、生命保険料控除は年末調整によって還付を受けるのが一般的なのです。

この年末調整によって還付されるのは、「12~1月の給与もしくはボーナス支給時に還付」されます。会社によっては、給与と一緒に還付される場合もありますし、給与とは別に還付される場合もあります。それから、万が一会社への申告を忘れていたと言う場合は、税務署へ行って自分で確定申告をする事で生命保険料控除を受ける事ができます。

自営業の場合は確定申告

自営業の場合は毎月の天引きが無いので自分で確定申告するかたちになります。翌年の2月16日~3月15日までの間に所得税の確定申告をする音になるのですが、その時に保険会社から郵送で送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して税務署に提出すると生命保険料控除を受ける事が可能となります。

税務署へ確定申告へ伺う際は、「生命保険料控除証明書」を忘れないようにご注意ください。
生命保険料控除証明書を紛失した場合
「生命保険料控除証明書」を紛失してしまう場合が良くあります。毎年生命保険会社から10月頃に送られてくるのですが、年末調整の手続きや確定申告をするまでにかなりの時間が空いてしまうからです。時間が空いてしまうので、紛失してしまう場合や、初めての方の場合は間違えて処分してしまう事も稀にあります。

このような場合は、再発行が可能ですので加入している保険会社に紛失した旨を伝えて再発行してもらうようにしましょう。生命保険料控除証明書の再発行は可能なのですが、時間がかかってしまいますので、早めに手続きをするようにしてください。

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